精神の積層

  睡眠導入剤を飲んだまま寝ないと、頭の中のどっかが麻痺するらしく半ば「ラリる」ことを発見して以来、何回か試した。

偽薬もかなりあるんだろうけど、相当効く。

具体的にいうと、

・夜中の海岸を全力で走り回る

・周りを気にせず歌が口をつく

・景色が非常に美しく見える(空が美しく見えてしょうがない)

などの症状(?)を確認した。

 

  しかし、眠剤にアッパーな成分が入っているとも思えないので、これでやたら明るくなるのは生来の自分の性格が表に浮かんでいるだけだと考えている。昔は直感的かつ感情的に生きていたし、実家が田舎なので星がよく見えて、それにいちいち感動するような感受性もあった。

  だとすると、自分の内部には、過去の明るくて自信過剰かつ傲慢で感受性の強い自分がどっかに保存されているらしい。そして普段はそれをどうにかして、徹底的に押し殺しているらしい。だから、結局今の自分の精神状態っていうのも、本当はそんなに強固なものでもなく、たかだか表面付近のレイヤーだけの話なのかも知れない。というかそういう実感を持った。これは自分としてはかなり意外なことで、昔の人格は完全に死んでしまっていて、強いポジティブな感情を無反省に持つことは一生ないだろうなと諦めていたので、こういうとあれだが、光明が差した感じがする。一番上の層だけをどうにかして交換すれば幸せになれるかもしれない訳だ。どうすればいいかわからないけど。

  それでも単純に導入剤としてもよく即効性でよく効くクスリなので、処方の3倍服用してウイスキーを小瓶といえど一本も空けた日には、日本語運用能力が馬鹿になる。これも不謹慎だが面白かった(今に始まった話ではないので今更恥もなにもない)。

 

平衡感覚→聴覚→短期記憶→視覚(動体視力)→言語能力

 

の順に麻痺していく様子が確認できた。言語能力にしても、「アルジャーノンに花束を」のように幼児退行しているというよりは、語彙はそのままで文法だけ馬鹿になっているらしく(主語に対して述語の使い方がちぐはぐになっていて散文のような文になる)、人間の脳には文法のみを専門に処理する回路があるということを自分を実験体にして確認したようなものだった。そしてそこまでの状態になってなお、「自分が誰か」とか「此処が何処か」という最低限の状況把握はできていたらしく、「ああ、生存に必要な情報は残るんだな、」と思った。ちなみに過去に痛みで何日か眠れなかったときがあって、そのときはこの能力(見等識)がやられた。痛みにうなされながら、母親に「というか、ここどこ?あんた誰?」と口走ったことがある。

  何であんなことをしたかと訊かれれば、「とりあえず、正気(普段が正気かどうかは本人も疑問だが)を吹き飛ばしたかったからというのと、どうなるのか興味あったから」。

あと、ウイスキーを300CCストレートで飲んで尚、二日酔いになってない自分を発見した(これも記憶がない)。

 

 

 

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4/19 13:10